高専出身の研究者が語り合う2050年の未来予想〜発展する科学技術と生きること〜

高専出身の研究者が語り合う2050年の未来予想〜発展する科学技術と生きること〜

2021年10月4日フリーマガジン近未来KOSEN第2号発行記念イベント「未来予想図~Go to the moon~ 『ちょっと月行ってくるね~!』が現実になった社会であなたはどんな人になる?」を開催しました。

「宇宙」をテーマにした『近未来KOSEN』第2号で、インタビューに答えてくれた東京工業大学の益一哉学長とJAXA宇宙科学研究所の尾崎直哉特任助教をゲストに迎え、「2050年と今学んでおきたいこと」について、語り合いました。2人の経験や専門が融合しながら対話が進みました。

東京工業大学長 益 一哉さん

JAXA宇宙科学研究所 特任助教 尾崎 直哉さん

今はまだ、宇宙へ行くことが大きなニュースになる時代です。

2050年頃には、コンビニへ行くような感覚で、宇宙へ行くことが日常になるかもしれません。その頃の未来はどのように変わっていて、技術開発はどのくらい進んでいるのか、研究者として活躍する益さん、尾崎さんと語り合いました。

2050年、気軽に月へ行くための課題

まず、月旅行の実現可能性を予想することから始まりました。益さんと尾崎さんは「月と地球を往復するステーションや開発のためのビジネス設計ができれば、海外旅行へ行く感覚で月へ行けるようになるのではないか?」と予想します。

ビジネス設計の課題としては、宇宙での都市開発やそのための法整備、重力の異なる環境で過ごすことによる健康課題などがあります。人工衛星の廃棄物のルール検討や、低重力の中で暮らすことの人への影響については、すでに研究されています。

発展を続ける科学技術と人の関係

次は技術発展の予想です。半導体の微細化・高性能化や身体への拡張は、どこまで発展するのでしょうか。また技術を使う人の倫理観についても話しました。

「半導体は、何年もの間、もうこれ以上は微細化しないと言われながらも、さらに高性能化している」という益さんに、尾崎さんは「コンピューターや半導体の能力が人間を超え、コンピューターがコンピューターを作り開発できるようになったら、人間が必要のない世界はくるのでしょうか」と質問します。

益さんは「それはわからない」と前置きをした上で「テクノロジーが人を超えてしまうことは、人の命を脅かすことと表裏一体。テクノロジーを使うのは人間であり、安全を意識して私たちは技術開発をしなければならない」と答え、尾崎さんも「これからは、技術的に可能でも、倫理の観点から実行しない選択することが増えてくるかもしれない」と言います。さらにロボットが個性を持つ人格を獲得した場合には「個性とはどこからが個性なのか?」という話題に及びました。

変化する世界で生きるために大切なマインドセット

新型コロナウイルス感染症の影響で、オンラインコミュニケーションの機会が増えています。感染症という外圧によって引き起こされた大きな変化について、益さんは「外圧によって人のマインドセットも変わり、これからもさまざまなことが起こるたびに技術も変わり発展するのだろう」と話し、尾崎さんも「2050年を意識したとき、物事の考え方も大きく変わる気がしている。物事の考え方が変わった世界で自分が順応し、やりたいことができるようにマインドセットをもつことができれば、2050年も順応していけるのではと考えている」と続きました。

「今やっておいたほうがいいことは?」という質問に益さんは「今あなたが今日やりたいことをやればいいと思う。友達と遊びたければ遊べばいい。そうしたらあの時もっと友達と遊んでおけばよかったという悔いは残らない」と答え、「やっておいてよかったのは英語」という尾崎さんは「高専時代は機械工学科だったが電子工作をする機会がなく、人工衛星を作ることになって初めて電子工作をやった。とても楽しかったのでもっと早く始めていたら楽しかったのにとは思うが、その時になってスタートしても遅いということはないし、後悔しているということもない」と話しました。

未来社会を生きる若い人たちへのメッセージ

最後に未来社会を共に生きる若い人たちに向けてメッセージをもらいました。

益さんからのメッセージ「常に、自分がやりたいと思うことをやるんだということが重要ではないか。それがひいては、人類社会の発展につながるので、常に新しいことに挑戦するという気持ちを忘れずに」。

尾崎さんからのメッセージ「2050年は研究者としての現役が終わるころだからそれまでの30年、自分のキャリアをどう過ごすかということと密接に関係している。はやぶさのようなプロジェクトは10年に1つくらいなので、2050年まで関わることができるプロジェクトはあと3つしかない。これまでどおりに考えても面白くないし、世界は想像を超えて変わってく可能性もあるので、常識に捉われないようなことに挑戦していきたい」。

衛星の軌道について話す尾崎さん

宇宙が身近な生活圏になっていると仮定した2050年の技術発展や、技術を扱う人間の倫理観を語り合った2時間でした。

参加者からは、「こうやって未来を考えることは楽しい!」「電子工作に興味がある。ギターのエフェクターを自作しようと思う!」と嬉しい感想が届いています。

みなさんは、2050年の暮らしや技術と人の関係をどのように想像しますか? これからも近未来KOSENは、未来や未来を生きる上で必要なことを語り合う時間を企画していきます。最新情報はこちらからご覧ください!

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